【うつわのお手入れ】金継ぎ編

独学派?教室派?金継ぎ初心者におすすめしたい「金継ぎのはじめかた」

大切な人にいただいた器をうっかり壊してしまった……。そんなときに伝統的な器の修復法「金継ぎ」を知っていれば、落胆する気持ちも少し和らぎそうですよね。金継ぎの歴史や成り立ち、また初心者の金継ぎのはじめ方などご紹介いたします。

改めて振り返ってみる。「金継ぎ」の歴史や成り立ち

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「金継ぎ」は割れた器のかけらやヒビなど、破損した部分を漆で接着し、その上から金粉や銀粉など金属粉で破損した箇所を装飾する技法です。

漆をつかって器を修復する方法は、古くは縄文時代から行われてきました。現代のように金継ぎに人々が芸術性を見出すようになったのは、茶の湯文化が発達し「わび・さび」に美を見出すようになった室町時代からだと言われています。

金継ぎに必要な道具は?方法は?

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金継ぎに必要な道具と材料

金継ぎに必要な材料はうつわと漆、小麦粉、木粉、砥の粉(地の粉)、金属粉の6つ。また使用する道具はマスキングテープ、ヘラ、筆、ヤスリ、カッター、作業用の板とゴム手袋、掃除用のオイルなどです。教える人によって必要な材料や道具は異なるため適宜用意しましょう。

金継ぎの大まかな流れ

金継ぎは大まかに下記の流れで行います。

  1. 割れを修復する場合は漆と小麦粉、水を混ぜて漆の接着剤をつくります。小さな欠けや、凸凹を修復する場合は、漆の接着剤に木粉や砥の粉(地の粉)を混ぜてパテを作ります。
  2. 器の割れた部分にそってマスキングテープを貼り、接着剤がはみでないよう下処理します。
  3. 漆で作った接着剤、あるいはパテを修復部分にヘラで塗り接着します。表面をヘラやカッターで削って整えます。
  4. 接着した器を乾燥させます。乾燥してから再度表面をヤスリで削って美しく加工します。
  5. 仕上げに修復した場所に筆で漆を塗り、金属粉を撒きます。
  6. しっかり乾燥させ、表面を磨きます。

作業自体は簡単ですが漆は温度や湿度に左右されやすいため、乾かす時間の調整や、乾かす場所の温度・湿度調整に手間暇がかかるため注意しましょう。

金継ぎのちょっとしたコツと注意点

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漆は厚く塗ると、乾くのに時間がかかります。また乾燥させる時期は、からっと乾燥した冬より、むしろ湿度と温度の高い梅雨時期や夏場の方が乾燥しやすくなります。

乾燥のちょうどいい塩梅や材料のそろえ方、道具の使い方などはプロの意見を聞くのが無難です。初心者向けの金継ぎ教室やワークショップなどが各地で開催されているため、通いやすいところを選び訪れてみてください。

初心者におすすめ!代表的な金継ぎ教室

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漆芸舎平安堂の金継ぎ教室

40年以上にわたって寺社、仏像、陶磁器などの修復に携わってきた、漆芸修復士・清川廣樹氏が開いた教室です。教室は東京と京都の二カ所。プロの指導による本格的な金継ぎの技術や、それを育んできた日本文化までを学べます。日程や滞在時間など、利用者都合によってスケジュールや値段が変わるため、まずは相談してみましょう。

NHK文化センターの金継ぎ教室

NHK文化センターは全国に44の教室をもつカルチャーセンターです。金継ぎ教室も北は北海道から、南は福岡まで全国各地で開催されています。初心者向けから講師養成コースまで、幅広い講義が行われているため、最寄りの場所で「初心者向け」の講座が開かれていないか確認してみましょう。

独学派に。通販で購入できる「金継ぎキット」

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独学ではじめるなら「金継ぎキット」を購入する方法もあります。金継ぎキットは東急ハンズでも販売されていますが、東急ハンズのネットストア、Amazon、楽天市場などの通販サイトでも販売されています。初心者向けの金継ぎ教本と合わせて利用してみてください。

最後に

ひとくちに「金継ぎ」といっても手法はさまざま。教える人によって道具や工程が変わり、混乱することもあります。ただ大事なのは「大切な器を直し、使い続けること」。手法にこだわらずに習いやすい場所や道具を選んで、まずは金継ぎをはじめてみませんか?

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