【うつわのお手入れ】磁器編

磁器と陶器、お手入れに違いはある? 代表的な磁器の「お手入れ」のコツ

ひとめぼれで磁器を購入し、「そういえばお手入れの方法を知らない!」と戸惑ったことはありませんか? そもそも磁器と陶器はどう違うのでしょうか。材質や作り方、代表的な磁器の種類など基本を知り、コツを押さえて上手にお手入れしてみましょう。

磁器と陶器の違いとは?(材質・作り方について)

陶器の材質・作り方

画像出典:https://uchill.jp/?pid=81447649

粘土を原材料に、磁器より低い温度(9001,200度程度)で焼きあげるのが陶器です。磁器との大きいな違いは原材料に含まれた、ガラス質の量。

陶器に使用する土はガラス質が少なく、低温で焼き上げるためガラス質と土との結びつきが弱く、穴も多いため吸水性がよい特徴があります。そのため釉薬のひび(貫入)から生地に水分や油分がしみこんだり、カビが付着したりすることも。

そのため陶器は使用する前に、生地にはいった穴や釉薬のひびをお米や片栗粉に含まれている「でんぷん」で埋める、目止めと呼ばれる作業を行います。磁器の場合、ひびや穴が少ないため目止めは行いません。

磁器の材質・作り方

画像出典:https://www.favoritestyle.jp/products/detail.php?product_id=2161

ガラス質が多い粘土を使用し、陶器よりも高温(1,2001,400度程度)で焼きあげるのが磁器です。生地に含まれているガラス質と土との結びつきが強いため、丈夫で焼きあがりもつるつるした仕上がりです。

陶器よりも生地にできる穴が少ないため吸水性がありません。また鉄分の少ない粘土を使用し、空気の少ない炎で焼きあげるため、生地が陶器のように黄色っぽくならずに透明感のある白色になります。

代表的な磁器の種類と産地

有田焼(伊万里焼)

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佐賀県有田町中心で作られている磁器を総称して「有田焼」と言います(※伊万里焼と言う場合も)。佐賀県有田町は日本で初めて磁器が作られた場所。日本の磁器の中で最も古い歴史をもっています。

九谷焼

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九谷焼は石川県南部を中心に作られている磁器。色彩の豊かさと優美な絵柄が特徴です。有田焼が作られ始めた頃と同時期に作られていたものを古九谷、それ以降に作られたものを九谷焼と言います。

磁器の安全な使い方と、使用時の注意点

磁器は陶器よりも硬く吸水性も少ないため、お手入れに手間がかかりません。陶器のように目止めする必要もなく、使い始めはやわらかい布で拭くか、スポンジと中性洗剤で洗うだけで使うことができます。

ただし磁器は豪華な絵付けがされている器も多く、金彩・銀彩などが施されている場合は手荒く扱うと色落ちしたり、電子レンジを使用することで発火したりする危険性も。また酸性の食品をのせることで絵付部分が変色することがあるため注意しましょう。

磁器の「お手入れ」のコツ

磁器は陶器よりも硬くて薄い分、衝撃によって欠けやすい一面があります。そのため洗うときは食器洗浄機を使用するのではなく「手洗い」するのがポイント。

また硬いスポンジやたわしで洗うと表面に傷をつけやすくなるため、やわらかいスポンジを使って洗いましょう。洗ったあとはしっかりと乾燥させ、湿度の少ない涼しい場所で保管します。

困ったときは?お手入れ対処法

しっかりと乾燥させないまま湿気の多い場所で磁器を保管すると、カビがついてしまったり、匂いがついてとれなくなったりすることがあります。

カビや匂いが付着したときは、まずは洗剤で落ちるかどうか確認しましょう。シンプルな磁器なら、漂白剤に浸してからお湯で洗い流せば、カビや匂いをすっきりと落とせます。(※金彩・銀彩・色絵が施された磁器の漂白剤使用はおすすめできません)

最後に

扱いやすく日々のお手入れも簡単な磁器ですが、雑に扱うと割れやすく、欠けやすい一面もあります。そのため長く愛用するなら、日々のお手入れと大切に使う気持ちが何より大事。「うっかり」に気をつけて、日々大切に取り扱うようにしましょう。

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