日本民藝館で「民芸」に触れ、美の感性を呼び起こす
「日本民藝館」という存在は知っているけれど、敷居が高くて入りにくいなんて思っていませんか? 「美」を見出す感性さえあれば、日本民藝館は誰でも楽しめる場所。まだ行ったことがない方は、ぜひこの機会に足を運んでみてください。
「日本民藝館」について

日本民藝館は民芸運動の提唱者・柳宗悦らにより1936年に作られた、伝統工芸品を展示する美術館です。
当時は現在のように、伝統工芸品は「美術」としての価値が認められておらず、伝統工芸品は「無名の職人が作った日用品」という範疇を出ることができずにいました。
この工芸品に美術品としての価値を見出し、世間に広める活動を続けたのが柳宗悦、濱田庄司、河合寛次郎らでした。
彼らは美術品としての評価が定まっていなかった工芸品の調査のため全国を駆け回り、日本全国の工芸品を収集。そして、この収集品を広く一般に公開するため実業家・大原孫三郎の支援を受けて「日本民藝館」を創設しました。
以来、日本民藝館は民芸運動の本拠地として、伝統工芸品の収集・調査・展示の場として今なお精力的な活動を続けられています。
日本民藝館で見られる、代表的な所蔵品・作品

日本民藝館に収蔵されている作品は、主に柳氏の審美眼により集められた日本や世界の工芸品です。その数およそ17,000点。種類も陶磁器から始まり、染織物や金工・石工品、木漆工品に絵画など多岐に渡ります。
その多彩な収蔵品の中で高い評価を得ているのが国内屈指の質・量を誇る、朝鮮半島の伝統工芸品と日本や世界の古い陶磁器、木喰の仏像、東北・沖縄・北海道(アイヌ)の工芸品など。民芸運動に参加した作家たちの作品も見どころのひとつです。
特に昭和前期から30年代にかけて集中的に蒐集された丹波古陶は、民藝館に所蔵されている日本の古陶磁を代表する品となっています。
ここに注目! 日本民藝館の見どころ
日本民藝館の見どころといえば、柳宗悦が民芸運動を興すきっかけともなった朝鮮陶磁器です。日本民藝館では定期的に朝鮮陶磁器の収蔵作品を紹介する、特別展・併設展を開催されています。
中でも18世紀後半に作られた白磁「染付秋草文面取壺」は、柳氏が朝鮮の工芸品に心惹かれるきっかけとなった品。一度は見ておきたい、歴史を動かした貴重な品です。
ただし日本民藝館に展示されている作品には説明書きがほとんどありません。これは何よりも見る人の、美を見抜く「直観」が大切であるという柳氏の考え方に由来しています。
自分の感性に引っかかった作品こそ「見どころ」となるのが民藝館の面白さです。
展示を楽しんだ後は? ミュージアムショップや周辺ランチスポット

展示を楽しんだ後は民藝館内のミュージアムショップも訪れてみましょう。ここでは全国から選りすぐった新作工芸品の展示販売が行われています。また民芸の歴史や知識を深めたい方のために書籍も販売されています。
またちょっと休憩をするなら、民藝館から徒歩2分の場所にある日本近代文学館内「BUNDAN COFFEE & BEER」も訪れてみてください。こちらは約2万冊の書籍が閲覧できる、スペシャリティコーヒー専門店です。
こちらのお店では作中にも登場する「文豪が愛した飲み物や料理」を始め、小説内にしか登場しないような「想像でしか味わえない、憧れの飲み物や料理」を再現し提供されています。
お気に入りの作品を読み耽りながら、ここでしか味わえない特別な一杯・料理を堪能できます。
「BUNDAN COFFEE & BEER」
- 所在地:東京都目黒区駒場4-3-55 日本近代文学館内
- 営業時間:9:30~16:20
- 定休日:毎週日・月・第4木曜
日本民藝館の基本情報・アクセス
日本民藝館の基本情報・アクセスは以下の通りです。
■基本情報・本館
- 住所:東京都目黒区駒場4-3-33
- 開館時間:10:00~17:00(最終入館16:30まで)
- 休館日:毎週月曜(祝日の場合は開館・翌営業日が休館日。年末年始/展示入れ替え等にともなう臨時休館あり)
- 入館料:大人1,100円、高大生600円、小中生200円(団体割引・障がい者および介護者の割引あり)
- (基本情報・西館)
- 開館日:展覧会開催中の第2水曜、第2土曜、第3水曜、第3土曜に公開
- 開館時間:10:00~16:30(最終入館16:00まで)
■アクセス
- 京王井の頭線「駒場東大前駅」西口より徒歩7分
- 小田急線「東北沢駅」東口より徒歩15分
まとめ
知識や情報に振り回されやすい「美」の世界。ただし、そのせいで目の前に広がる「美」を見逃したとしたら、とてももったいないですよね。日本民藝館は何よりも見る人の感性を大切にしてくれる場所。ぜひ気後れすることなく訪れ、「初めての民芸の世界」を楽しんでみてください。